僕は、カナダ国境からメキシコ国境までを繋ぐ、約5000kmの自然歩道、コンチネンタル・デバイド・トレイル(CDT)を歩いている。
文字通り足がボロボロ
6/23~7/1
CDTの難所で有名なボブマーシャル自然保護区を歩く。
21時くらいまでは明るいので、暗くなるまで歩く。
たくさんの倒木が道を塞いでいる。山火事後のbrowdown(森林火災用語 吹倒れの木)と呼ばれるもので、倒れた木を乗り越えては少しずつ進むという、罰ゲームのような状況だ。針葉樹だから、尖った枝葉が多く足はすり傷だらけ。こんな擦り傷は子どものとき以来だよ。でも、火事でできたであろう草原は清々しい。いくつも雪解けによる川ができていて、時には膝上まで浸かりながら渡渉する。雪解け水は冷たくて清々しいと言いたいところだが、めちゃくちゃ傷に染みるのよ。
開けたらめちゃくちゃ綺麗な景色だけど、山火事セクションは地獄。倒れた大きな木をひたすら越えて、至るところが川とか池みたいになって、道はぬかるんで、足は傷だらけで、ずっと濡れっぱなしで、森は蚊だらけで、止まれずにずっと歩き続けてる。でもこれが自然で、現実なんだよな。
熊もどこから出てくるかわからないので、不意にフォーと叫びながらそんな事を考えつつ、歩く。
高度を上げれば、ずっと雪。わかってたけどこれがきつい。ズブズブ足を取られて思うように歩けない。テントもバキバキに凍って、毎日結露との戦いだ。まいっちまうでよ。
痺れるっす。
毎日大変でたのしいじゃん。
有名なチャイニーズウォールの下を歩く。残雪でらけで目印もないので道迷いでも有名なのだ。携帯のGPSを頼りに残雪上を9マイル。僕にとっては出来事も含めて毎日が名所だ。これこそがロングトレイルの魅力。
CDTの目印は気休め程度にしかなく、PCTに比べて圧倒的に少ない。珍しいのでつい写真を撮ってしまう。
僕が使っている地図はアプリベースで、ダウンロードして携帯でGPSとして使っている。
主に使用しているのはFarOut Guides(アプリが開きます)というアプリ
サブとしてこちらの無料で公開されている地図をダウンロードしている。
相変わらずハイカーが少ないので、たまに出会うと異常に嬉しい。やっぱり厳しい歩き旅の緊張感を解くのはハイカー達との不思議な絆だなぁ。ほとんどのハイカーが、PCTやATを踏破済みなので意気投合するのかな。
みんなは、街に降りると物資補給をして、次のポイントにも荷物を送るリサプライ(事前補給)をしていると聞く。syuuは今更遅いよなんて言われたので、毎回ヒッチハイクで街に出るのだ。山で身綺麗なハイカーを見かけると街が近い兆しなので嬉しくなる。
そう、正直に言おう。僕は街が好きなんだ。街に出たら出たで、後ろ髪をひかれながらトレイルに戻っているんだ。みんな!山より街がいいよ!
ということで、ずっと短パンだった足の皮膚が悲鳴をあげだしたので、2日間はオウガスタで休養。
熊より怖い雷さま
7/4
オーガスタからトレイルへ。
オーガスタで皆でライド代を(送迎代)をシェアして、トレイルヘッド(登山口)まで移動。
いつもなんだけど、登山口では、それぞれにありがとうと声をかけながら最後まで見送る。僕もすぐにトレイルに戻るんだけど、英語がいまいち出来ない僕は、レストランのオーダーやホテルのチェック時、次のセクションの問題点を教えてもらったりなどなど、いろいろと出会う人に助けられている。感謝を込めて見送る。
山ではあまり見かけないハイカーも街では会える。別れ際の寂しさに似た気持ちは、次の出会いの前兆なんだろうな。
グレーシャーから続いた険しい山容は、徐々に無くなり、たおやかで女性的な山容に変わってきた。代わりに稜線歩きが増えてくる。ここで怖いのは夕方から夜にかけて毎日サンダーストームが発生する事。稜線上でゴロゴロと鳴る音は熊よりも100倍怖い。
毎日とても大きな大陸的な風景だけど、雨も毎日降るようになったのでテントはビシャビシャ、寝袋しっとり。毎日が歩くだけでとても平和だけど、ここに来て、以前ひねった足首が痛み出す。回復力が低い51歳。こうなると気持ちも乗ってこない。
あー、疲れた。きちー、だりー、飽きた。という文句が出てくる。こんな時は、肉を食わにゃ。
リンカンという町まで、補給のためヒッチハイク。どうやら明日はバイカーフェスティバルがあるようで、ハーレー好きが集まってなんだか賑やか。歴史的建造物のホテルに一泊。スタッフや滞在客、みんなフレンドリーで心癒される時間。夜はフランスから来たハイカーとアメリカで初めてステーキを食べた。アメリカでも値段の高いステーキだったけど、身に染みる旨さだった。
ここで今回の補給内容を紹介
これで3~4日分。その時で手に入る食料も変わってくるけど、これが基本のパターン。山ん中にいる時はあんまり食べてないので、町に降りた時にハイカロリー、ハイプロテインな食事をする。あと、フルーツも町でたくさん摂取する。
もう一つ僕に必要なものタバコ。普通のタバコはバカ高いから、こっちでは、この巻きタバコ。170gで$10と激安。ざっくり計算すると、7箱分、140本分くらいかな。しかし、安いとは言え、こんなに沢山は邪魔だから要らないんだけど。
7/8,9
リンカンからヒッチハイクでトレイルに戻り、2日半ハイク。様子もたおやかな山々に変わり、ブローダウンも雪も無くなり歩きやすくはなったが、稜線付近をトレイルが走っている為、アップダウンの連続に変わる。相変わらず、夕方からほぼ毎日起きる雷雲。初めは稜線を走り抜けてたけど、今は雷が鳴り出したら、疎林の中に傘を刺して亀の様に避難している。これがほぼ毎日。この避難停滞で1日の歩行距離も伸び悩み、せいぜい18~20マイルあたりをいったり、いかなかったり。
7/10
昼過ぎからボブマーシャルで右足首が異常に痛みだす。歩けず座っていたら、バギーを楽しんでる家族と遭遇。大丈夫か?って声を掛けてもらい、サンドイッチやら、ソーセージやらをご馳走に。ファミリーのパパ曰く、麓にサイクリストを無料で泊めてる場所があるから、そこまでバギーで送ってやると言われ、甘える事に。
7/11
バーバラにモンタナの話をしてもらいながら、ヘレナという大きな町に送ってもらい足を労わる。
きつめの日差しを浴びながら、無限に続くような倒れた木を乗り越えて、残雪残る山を歩き、雪解け水を渡渉して、雷雨の中で傘さし耐えて、たまに街に寄ってアイテムを買って宿で休む。
RPGだよCDTは。
明日、トレイルに戻ります。
コンチネンタル・デバイド・トレイル(CDT)はアメリカの長距離自然歩道。アメリカ三大トレイルのひとつと言われ、まだまだ未開拓で、荒々しく、冒険溢れるトレイル。総距離も、通るルートもハイカーらしさが出る面白い道。
